ルクスと光合成光量子束密度|観葉植物の照明選びに大事な単位
私たちの顔色や印象をより効果的に見えてくれる照明ライト。
部屋の観葉植物だってよりステキに見せたい時に、ライトがあると映えますよね。
そして植物の生長には、何といっても光が大事!
ここで気になるのが、日当たりが悪い日には光合成できないよね?……
植物の生長とインテリア効果は、家用の照明ライト1つでいいの?
という疑問。
さっそくコトハの谷奥代表に直撃!
観葉植物と部屋の光はいかにして?
植物の生長と見栄えのW効果
観葉植物はその名の通り、植物の生長と美しい姿を観て楽しむことができますよね。
この、生長にも見た目にも重要な役割を果たしているのが「光」。
日が当たらない部屋であれば光合成は難しいし、インテリア用の照明ライトで光合成はできないのでは…?
谷奥代表に伺うと、
「部屋(観葉植物を置く場所)に、観葉植物が必要としている明るさが確保できていれば、ご家庭用の照明ライトで大丈夫ですよ」。
それは正直、ありがたい話です。 次に具体的に解説して頂きました。
観葉植物の光は照度(ルクス)で把握
「観葉植物に必要な光には、太陽光と人工光があります。
部屋で観葉植物と楽しく暮らすためには、部屋の窓から太陽光が入る部屋、つまり部屋がどれだけ明るいか、「明るさの目安」があるんですよ。
それがこちら。
観葉植物が育つ照度は、500~1000ルクスぐらいです。
皆さんが観葉植物を置いている場所、もしくは飾ろうと思っている場所に明るさが
500から1000ルクスあること。
それが「植物が必要とする明るさ」、つまり植物が欲している明るさなんです」。
谷奥代表は、植物の観点から捉える大切さを伝えています。
なぜルクス?
なぜ単位はルクス?
ワットの方が明るさの感覚がつかみやすいという方へ。
谷奥代表に、観葉植物とルクスの関係を聞いてみました。
「ルクスとは照度の単位で、光に照らされた面の明るさのことです。
リビング、キッチン、寝室など、観葉植物を置く場所、つまり部屋の「明るさ」を条件にしているので、ルクスを用いています。
ちなみに明るい、暗いというのは人の感覚で感じ方は個人差がありますよね。
その感覚と実際のズレを最小限に抑えるために、「照度(ルクス)」という単位で数値化されています」 なるほど。
身近な単位だったんですね。
観葉植物を部屋に置く時の明るさにルクス、覚えておきましょう。
最初に部屋の明るさを確認
ルクスを身近なシチュエーションで見てみましょう。
暮らしに必要な照度で見ていくと、
●食事の時 :300ルクス
●読書・勉強:500ルクス以上
●編み物など:1000ルクス
(参照:JIS照度基準(住宅編)/
労働安全衛生規則第604条)
先ほども出ましたが、観葉植物が育つ照度は、およそ500~1000ルクス。
観葉植物を置く部屋の明るさ、ぜひ目安にしてください。
部屋にも北向きだったり、夏と冬で太陽の高さが異なり、明るさにも差がありますよね。 そこで谷奥代表のアドバイスは、
「日中、電気をつけなくても、読書できる明るさがあれば問題ないです」。
皆さんの部屋はどうですか?
照明ライトと電球の色
「もし日が当たらない部屋であればLEDライトがお勧めです。
自宅で楽しむための観葉植物であれば、量販店など一般的に購入できるLED電球で大丈夫ですよ。
植物の光合成に欠かせない太陽光。
なかでも観葉植物の生育には、可視光線の赤と青の波長が以下のように影響します。
●可視光線の青色系:葉や茎を形成、生長維持
●可視光線の赤色系:光合成を促進
一般的なLED電球の白系の光は、赤・緑・青の光の三原色を混ぜ合わせてできた色です。
ということは、光合成に必要な青色系と赤色系を植物に与えることが可能です。
わざわざ青と赤のLED電球を2つ用意しなくても、白色LED電球で対応できますよ。
赤色と青色のLEDライトを選ぶと、このような効果が期待できますが、ご家庭用のインテリア照明には不向きかと思います。
部屋の明るさが足りない時は
「部屋に太陽の光が差し込まない。
植物が必要とする明るさ(ルクス)が確保できない。
もしくはより専門的に植物の育成を考えている方には、光合成の促進を考えた植物専用ライトが画期的です」と谷奥代表。
さらに、
「光合成の基準、専用ライト選びの時に、知っておくと便利な用語といえば 、光合成光量子束密度(PPFD)です。
これは植物が光合成に利用する波長の光を、一定時間内、一定面積内で受ける、光の粒(光子)の量を表します。
そのためルクスより正確です。
専門的ですが、単位はμmol m-2s-1です。」
確かに専門的…
ルクスではなく、しかも漢字がたくさん並んで単位も複雑……整理しますと、LEDでの植物生育に重要なのは次の2つ。
●波長:葉緑素の光の吸収波長は
400~700nm 。赤色と青色を吸収
●光量子束密度:可視光線スペクトルにおける、1秒当たり1平方メートルに当たる光の粒の数
谷奥代表に、なぜ光合成を波長ではなく、光の粒(光子)で測るのかについて伺いました。
光合成光量子束密度で納得
「まず太陽の光はエネルギーを持っています。
太陽光の可視光線のうち、植物の葉は青い光(400~500nm)と赤い光(600~700nm)を吸収します。
青い光も赤い光もエネルギーをもちますが(短いほどエネルギー大)、光合成はエネルギーよりも光子の数の影響を大きく受けます。
光合成光量子束密度を見てみましょう。
・太陽の直射日光のPPFDは約 2000 μmol/m2・s
・曇りの日のPPFDは約 50 〜 100 μmol/m2・s
観葉植物と光合成について調べると、光合成光量子密度と2000という数値はよく出てきます」。
谷奥代表は、専門的なことでも知っておくと、より適切なお手入れができることを伝授してくれました。
植物専用照明ライト選びのポイント
「結論から言うと、植物育成ライトを選ぶ時のポイントは、光合成光量子束密度。
基準は太陽光のPPFDで2000μmol m-2s-1。
ライトはその数値に近いものを選びましょう。
次に、光合成光量子束密度に関連した用語と意味を挙げておきます。
①放射束密度:各波長ごとのエネルギ強度を足し合わせたもの。
②短波放射束密度:光合成に有効な波長域を含む放射束密度。
③光合成放射束密度:光合成に有効な400nmから700nmの波長範囲だけを通すフィルタ ーを使って測定した放射束密度。単位はmol m-2s-1
④光合成光量子束密度:植物が光合成に利用する波長の光を、一定時間内、一定面積内に受ける光の粒(光子)の量として表す
ポイントは、植物が感じる明るさは、光の波ではなく光の粒(光子)「光合成光量子束密度」で測る、
ということ。
また①②③はエネルギー強度に関係あり。
④はエネルギーとは関係なし。
突き詰めるとこのような違いがありますので、説明を入れさせて頂きました。
まとめ
部屋に観葉植物を置く、明るさ1つとっても実に奥が深く、専門的な知識が必要を痛感された方も多いと思います。
今回の内容をしっかり理解して、観葉植物が喜ぶ明るさを提供できるようにしましょう。